令和6年度 奈良金春会演能会
能「実盛」(さねもり)
加賀の国篠原(石川県)の里の男(アイ)が、他阿弥上人(ワキ)のもとへ向かう。男は、上人が念仏の時に独り言を言う訳を尋ねることにする。上人と供の僧(ワキツレ)が説法をおこなっていると、老人(前シテ)が聴聞に来るが、老人の姿は上人以外の人には見えない。老人はこの地で討死した斎藤別当実盛の幽霊と明かして、池のほとりに消え失せる。里の男が独り言の訳を尋ね、実盛の物語を語る。そこで上人が弔いをすると実盛の霊(後シテ)が老武者姿で現れる。霊は、討死した実盛の首を池の水で洗うと、鬢髭を染めた墨が流れ白髪に戻ったこと、実盛が錦の直垂で出陣をしたことを物語る。続いて、手塚太郎光盛に討たれた最期の有り様を見せ、さらなる供養を願う。
老武者の心意気と悲哀を描いた修羅能です。実盛の幽霊が出現したという巷説をもとに作られたとされます。世阿弥作。
能「鍾馗」(しょうき)
中国の終南山の麓に住む男(ワキ)が、皇帝に意見を申し上げるために都へ向かう途中、怪しい雰囲気の男(前シテ)と出会う。男は、悪鬼を滅ぼし国土を守護するという誓いを皇帝に伝えてほしいと頼む。問われるままに自らは鍾馗であると名乗り、進士の試験に落第して自殺したが、今はその執心を捨てて善をなすと言って姿を消す。山の下に住む男(アイ)が鍾馗の物語を語り、旅の男は鍾馗の供養をする。やがて鍾馗の神霊(後シテ)が宝剣を手に現れ、悪鬼を切り払う。
世の無常を静かに語るクセと、後半の剣を振う豪壮な鍾馗の様子が見どころです。鍾馗は、病鬼を追い払った故事で知られる神であることから、日本でも、魔除けとして像が屋根等に飾られたり、端午の節句のモチーフになったりしています。
解説 中司 由起子
次回予告
7月21日(日) 連合謡曲仕舞会
10月20日(日) 能「井筒」髙橋 忍 能「野守」金春 嘉織
仕舞「氷室」 中田 能光
「三輪」クセ 田中 直樹
「錦木」 酒井 賢一
能「実盛」 シテ(前・老人、後・斎藤別当実盛の霊) 金春 穂高
ワキ(他阿弥上人) 原 大
ワキツレ(従僧) 原 陸
ワキツレ(従僧) 佐々木 奏太
アイ(所の者) 茂山 逸平
笛 赤井 啓三
小鼓 荒木 建作
大鼓 守家 由訓
太鼓 上田 悟
〈休憩 20分〉
狂言「盆山」 シテ(男) 茂山 宗彦
アド(何某) 茂山 千之丞
仕舞「清経」キリ 辻󠄀井 八郎
「杜若」キリ 金春 嘉織
「昰界」 髙橋 忍
能「鍾馗」 シテ(前・里人、後・鍾馗大臣の霊) 金春 憲和
ワキ(旅人) 原 陸
アイ(所の者) 井口 竜也
笛 赤井 要佑
小鼓 荒木 建作
大鼓 山本 寿弥
太鼓 上田 慎也
付祝言 (終了予定 午後4時頃)
主催:奈良金春会
後援:奈良県、奈良市教育委員会、(公社)金春円満井会
四枚綴回数券 20,000円
一般一回券 7,000円
学生一回券 3,500円 ※
※学生券は当館窓口でも販売いたします。学生証の提示をお願いいたします。
また、公演当日に主催者より学生証の提示をお願いする場合がございますのでご了承願います。
◎奈良春日野国際フォーラム 甍 ~I・RA・KA~ 電話:0742-27-2630(月曜休館)
◎奈良金春会 電話:0742-33-9720(金春)
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