令和6年度 奈良金春会演能会
能「小袖曽我」(こそでそが)
曽我十郎祐成(シテ)とその弟五郎時致(ツレ)が、家来の団三郎・鬼王(トモヅレ)を伴い登場。兄弟は、富士の裾野でおこなわれる源頼朝主催の巻狩で、父の敵工藤祐経を討とうと決意する。決行前に兄弟は母(ツレ)に会い、五郎の勘当を許してもらおうとする。十郎は乳母の春日局(アイ)に案内を乞い、母と対面。しかし母は五郎とは会おうとせず、再び勘当を言い渡す。立ち去ろうとした五郎を連れ、十郎は母を説得にかかるが今度は兄弟揃って勘当となる。二人は懸命に決意を述べ、母の情にすがりつつ泣く泣く退出する。ついに母は二人を呼び戻して勘当を解く。心を通わせた母子は門出を祝って宴を設け、名残を惜しむ。兄弟は勇む心を胸に、揃って舞を舞う。
『曽我物語』には、十郎が母に小袖を乞う場面がありますが、現在の能にはありません。兄弟は「男舞」を相舞します。
能「西行桜」(さいぎょうざくら)
都の西山に住む西行(ワキ)が、能力(アイ)に庵の花見禁制をふれまわさせる。しかし都の人々(ワキツレ)がやって来て花見をさせてほしいと頼むので、西行は仕方なく庵の桜の見物を許す。そこで西行は、心静かに桜を眺めることを妨げられたのは、桜のせいであると歌に詠む。すると夜、西行の前に老木の桜の精(シテ)が現れ、桜に罪はないと西行を諭す。精は都の名所の桜の美しさをたたえると、舞を静かに舞い(序ノ舞)、夜明けと共に消え失せる。
老木の桜の精と西行が最後には心を通わせ、春の夜のひとときの出会いを惜しみます。
解説 中司 由起子
次回予告
6月23日(日) 能「実盛」金春 穂高 能「鐘馗」金春 憲和
7月21日(日) 連合謡曲仕舞会
10月20日(日) 能「井筒」髙橋 忍 能「野守」金春 嘉織
能「小袖曽我」 シテ(曽我十郎祐成) 金春 飛翔
ツレ(曽我五郎時致) 金春 嘉織
ツレ(母) 中田 能光
トモヅレ(団三郎) 松浦 良太
アイ(春日局) 山下 守之
笛 赤井 要佑
小鼓 荒木 建作
大鼓 辻󠄀 雅之
仕舞「岩舟」 田中 直樹
「羽衣」キリ 吉川 恵宥
「笹ノ段」 湯本 哲明
〈休憩 20分〉
狂言「清水」 シテ(太郎冠者) 茂山 千五郎
アド(主人) 井口 竜也
仕舞「八島」 本田 布由樹
「熊野」キリ 金春 安明
「国栖」 金春 穂高
能「西行桜」 シテ(桜の精) 金春 康之
ワキ(西行法師) 原 大
ワキツレ(花見) 原 陸
ワキツレ(花見) 佐々木 奏太
アイ(能力) 茂山 茂
笛 赤井 啓三
小鼓 荒木 建作
大鼓 上野 義雄
太鼓 中田 弘美
付祝言 (終了予定 午後4時15分頃)
主催:奈良金春会
後援:奈良県、奈良市教育委員会、(公社)金春円満井会
四枚綴回数券 20,000円
一般一回券 7,000円
学生一回券 3,500円 ※
※当館窓口でも学生券も販売いたします。学生証の提示をお願いいたします。
また、公演当日に主催者より学生証の提示をお願いする場合がございますのでご了承願います。
◎奈良春日野国際フォーラム 甍 ~I・RA・KA~ 電話:0742-27-2630(月曜休館)
◎奈良金春会 電話:0742-33-9720(金春)
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